私大医学部の英語 ~第4回 藤田医科大学④(2021年度後期入試)~
こんにちは。塾長の小原です。
今日は昨日に引き続き, 藤田医科大学の問題を扱います。
今回は第3問の並べ替えの問題です。
では, 問題を解いてみましょう。
第2問 次の問1~4においては, それぞれ日本語の意味に合うように下の(1)~(7)の語句を並べかえて空所を補い, 適切な文を完成させなさい。ただし文頭にくる文字も小文字にしてある。
問1.彼女は全ての論文にほとんど同じコメントをした。
She made [ 7 ] [ 8 ] .
(1) about (2) almost (3) article (4) comment (5) every (6) same (7) the
問2.彼は, どんなに客が不愉快でも, それを表に出すことはない。
[ 9 ] [ 10 ] , he never shows how he feels.
(1) annoy (2) customers (3) him (4) how (5) matter (6) much (7) no
問3.彼らはみなその上院議員に質問をした。
[ 11 ] [ 12 ] .
(1) all (2) asked (3) of (4) questions (5) senator (6) the (7) they
問4.聴衆はその有名な交響曲のそれほど素晴らしい演奏を聴いたことがなかった。
Never [ 13 ] [ 14 ] so well.
(1) famous (2) had (3) heard (4) performed (5) symphony (6) that
(7) the audience
では解説します。
問1.文の骨格としては「彼女は(全ての論文に)コメントをした。」ですから,
She made comment (about every article).
というSVOの文となります。
そして, 「ほとんど同じコメント」になるように
almost the same comment
とすればOKですので, 英文は
She made almost the same comment about every subject.
となります。
ポイントはalmostの使い方です。
まずalmostは「副詞」ですから, 名詞以外を修飾します。
意味としてはそれこそほとんどの学習者は「ほとんど」と覚えていると思いますし, それで正しいです。
ただ, 副詞であることを忘れてしまうと, ①「ほとんどの学生」, ②「ほとんどの猫」と言いたいときに
① almost of the students
② almost cats
のように, almostを名詞や形容詞として使ってしまうミスが起こりやすくなります(正しくは ① most of the students / almost all (of) the students ② most cats / almost all cats)。
ですので, 「ほとんど」という意味に加えて, 「あとちょっとで」という意味を覚えておくとよいでしょう。
そうすれば,
almost of the students「学生のあとちょっとで…??」「ほとんどのあとちょっとで…??」
almost cats「あとちょっとで猫…??」
となって, おかしいことが分かると思います。
4択の文法問題でもダミーの選択肢としておいてあることが多いので, 十分注意してください。
今回の英文ではalmostがthe sameという形容詞句を修飾して「ほとんど同じ」となっているんですね。
問2.「どんなに~でも」という日本語を見て, すぐに
no matter how [however] + 形容詞/副詞 + S V
がすぐに出るようにしておきたいところです。
ポイントは,
no matter how [however] の直後に形容詞・副詞が来る
ことです。
so, too, as, how, that のような副詞は, 必ず直後に形容詞・副詞を置くことを覚えておきましょう。
副詞のthatは「そんなに, それほどまでに」という意味です。
例)
No matter how fast I ran, I couldn’t catch up with him.
「どんなに速く走っても, 彼に追いつけなかった。」
さらに, 後ろに名詞を置きたい場合は
so, too, as, how, that + 形容詞 + a + 名詞
の語順になります。
ちなみに, 複数形の名詞はこの形はとれないので注意しましょう。
例)
I’m not so good a cook as you.
「私はあなたほど料理が上手ではありません。」
That is too good a story to believe.
「それはうまい話すぎて信じられないね。」(直訳:「それは信じるにはうまい話すぎる。」)
That is not that big a problem.
「それはそんなに大きな問題ではないよ。」
ということで正しく並べ替えると
No matter how much customers annoy him, he never shows how he feels.
となります。
muchはannoyを修飾する副詞ですね。
おそらく
No matter how customers annoy him much, …
とした受験生が多かったのではないかと思います。
この記事を読んでくれている皆さんで, もしこのようなミスをした人がいれば, ぜひ覚えて次に生かしてほしいと思います。
問3.ask はSVO1O2(第4文型)の形をとって「O1にO2を尋ねる」となりますね。
「ask+人+物」などと覚えたと思います。
これを, 語順を変えてSVOの形にすると,
ask + 物 + (of + 人)
というように, 前置詞にofを用います。
give, tell, show, tellなどのいわゆる
give型動詞(物や情報が移動する動詞)は “to + 人”
buy, find, get, cook, makeなどのいわゆる
buy型動詞(他の人のために利益になることをしてあげる意味をもつ動詞)は “for + 人”
になることは知っている人も多いと思います。
例)
<give型動詞>
He told me the story. → He told the story (to me).
「彼は私にその話をしてくれた。」
I sent my mother a letter. → I sent a letter (to my mother).
「私は母に手紙を送った。」
<buy型動詞>
My father bought me a watch. → My father bought a watch (for me).
「父は私のために腕時計を買ってくれた。」
I’ll get you the ticket for the concert. → I’ll get the ticket for the concert (for you).
「君のためにそのコンサートのチケットを手に入れてあげるよ。」
<ask>
May I ask you a favor? → May I ask a favor of you?
「お願いがあるのですが。」
ということで, 正しく並べ替えると
They all asked questions (of the senator).
となります。
問4.否定を表す副詞(句)が文頭に来ると, 主節が疑問文の語順になります(これを強制倒置といいます)。
今回は, neverという副詞が文頭に来ています。
「聴衆は聞いたことがなかった」という文は普通は
The audience had never heard
ですが, neverが文頭に来ることで
Never had the audience heard
という疑問文の語順になりますね。
そして, heardの目的語が「その交響曲のそれほど素晴らしい演奏」ですから
that famous symphony performed that so well
となります。hearは知覚動詞ですから
hear + O + 過去分詞形
「Oが~されるのを聞く」
という形をとります。
これはSVOC(第5文型)で, OとCには「主語と述語の関係」がありますので, 訳すときには「Oが~される」と訳すといいですね。
例)
I heard my name called from behind.
「後ろから私の名前が呼ばれるのが聞こえた。」
She felt her shoulder touched by someone.
「彼女は肩が誰かに触られるのを感じた。」
この問題は「その有名な交響曲がそれほどすばらしく演奏されるのを聴いたことがなかった」というのが直訳になります。
ということで, 正しく並べ替えると
Never had the audience heard that famous symphony performed so well.
となります。
【解答】
問1.[7] 7 [8] 1 問2.[9] 5 [10] 2 問3.[11] 1 [12] 3 問4.[13] 3 [14] 5
問2, 問4はミスをした方も多かったかもしれませんね。
入試ではよく出題される重要事項ですから, 次に同じミスをしないように, しっかり復習をしておきましょう!